新型コロナで自粛・休業、そして対策をあれこれやって営業再開、となったけれど、売り上げはコロナ以前の5割もいかない・・・。飲食店や飲み屋の大半はそんな苦境に立っている。

今日、久しぶりにかつての部下で、事業の部分譲渡をしたY君が、俺の病気の噂を聞きつけて訪ねてくれた。Y君は苦しいながらも立派に事業を経営しているし、その上一昨年、俺が数社のベンチャーに出資するときも、いろいろリサーチしてくれたりと世話になった。

ベンチャーは各社とも苦しい状況になって、1社は今年解散に追い込まれたし、あと3社は頑張ってはいるけれど、よほどのことがない限り、上場するのは難しそう。でもうち2社は黒字転換してるんで、じっくり様子を見てる最中。Y君も気を使ってくれてるけど、まぁ、俺は気にしてないからな。

それよりも俺の病気を気遣ってくれて有難かった。


そんなわけでY君は商工会議所でも結構な顔になってて、いろいろ新型コロナ対策で相談を受けたりしてるらしいのよ。頼られてるんだろうね。それで飲食店やキャバクラ等いわゆる水商売の話になったわけ。

「でも、迂闊にアドバイスなんかできないですよ、こんな状況じゃ」
「いや、簡単だよ。営業再開して収支がどうなったか、だけ見る」
「そうですよね」
「休業の時よりも悪化してたら・・・厳しいってことだろう」
「そうなんですよ、結構そういうところが多いんです」


休業して、従業員とかいたら休業のあいだ、何割かの給料を払ったり、とにかくいろいろやり繰りして経費を徹底的に抑え込んで、固定費も交渉して抑え込む。そういうことができたら、営業再開すれば少なくとも損益は改善できるけど、何もしなかったら、営業再開しても損益分岐点に届かないから返って赤字が膨らんでしまう。

多くの水商売はそんな悪循環にどっぷり嵌っているんだよ。多少支援金をもらっても長引いたらまったく役に立たない。むしろ、そんな金が入ると強気になって余計なことをやってしまう。もちろん新型コロナが収束するという前提でやる。なので前提が覆れば成立しないんだね。


でY君とこんな話をした。
「例えば、美味しいとか接客がいいとか、売り物がある店ならば、その部分を強化しちゃって地域の勝ち組にできないか?」
「でも、評価するのは客ですよ」
「そうなんだけど、みんなかわいそうなのは、たべ〇〇とか既存のネットに晒されてダメにされちゃう」
「普通になっちゃいますね」
「そう、あとは有名店だとミシュ〇〇の星とかさ・・・」
「あれもいろいろ裏があるみたいですよね」


で、こんな話をしながら今の新型コロナが収束しない時代というのを考えてみた。
「例えば美味しいレストランがある」
「はい」
「そこは予約制だ」
「はい」
「行くかい?」
「1回くらいは・・・」
「だよなぁ・・・」


「じゃ美味しかったらまた行くかい?」
「嵌ったら行くかもしれないけど、そんなのは滅多にないですよ」
「空腹になってすぐに行けなきゃな」
「スマホで翌日の予約なんて・・・・」

「混んでたら嫌だろ?」
「そりゃ嫌ですよ。でもテイクアウトは味が落ちるし・・・」
「テイクアウトは不味いよな」
「・・・」

「離れたところにあって、予約制じゃなくても混まなくて、でも美味しいからなんとなくお客が切れない店」
「昔、ラブホは戸建てになってましたよね?」
「Y君、古いなぁ 笑」
「あれなんかヒントになったり?」
「かもしれないね」
「星野リゾートとかのホテルも?」
「ほらいつか行った軽プリのコテージもだ」
「でも食事じゃ経費が・・・」
「だから、なんのためにそういう形式なのかを考えて、それを応用してみたら・・・」
「なるほど」

Y君とは昔、いつもこんな会話をしてた。ある種の仮定を作ってシュミレーションするようなゲームというかトレーニングだよな。彼がなんかいいものを見つけてきたら、出資してもいいと思ってる。株式投資もいいけれど、こっちのほうが断然楽しいものなぁ・・・。

Y君は「思いのほかお元気なので安心しました」と言って帰って行った。事業も苦しいだろうけど頑張ってほしいね。久々に俺も楽しかった。