EU圏の経済が回復基調になってきた今、とうとうイタリアの中小銀2行に対し「再建の見込みなし」と判断したECB破綻処理に踏み切った。ECB総裁のドラギはイタリア人であって、不良債権で再建の見込みのないイタリアの銀行に対し長く引っ張ってきたわけだが、景気回復基調の今が処理のタイミング、と判断したのだろう。
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イタリア、2銀行を破たん処理へ ECBが再建不能と判断

この問題の最大の焦点は「劣後債」の取り扱いだ。欧州金融機関は不良債権の山に苦しみ、世界的な金融緩和と低金利の影響で、ほとんど償却の目途が立たない状況。欧州系銀行は大ザルのECBストレステストではまったく判断できないどころか、厳密な意味で健全行と呼べる金融機関は1行も存在しない。ほぼ全行がおびただしい不良債権を囲っていることは、ドイツ銀行の例を見ても明らか。この低金利時代では、その償却はほとんど進むはずもなく、ただただ、金利の上昇を待っているだけといった状況。

特に南欧系の金融機関は瀕死の状態で5兆円以上を投入したイタリア・モンテパスキでさえ再建の目途は立っていない。EU規定では公的資金の導入条件として株主と劣後債の責任の明確化があり、基本的には劣後債は救済されないところが南欧系銀行のほとんどが、劣後債を大量発行して資本増強をはかってきた経緯があり、社債の大半が個人を対象にした高金利劣後債である場合も多く預金保護が意味をなさない懸念さえある。

週明けのイタリアで取りつけ騒ぎに波及すれば、この決定は他行に飛び火する可能性も大いにあり、また他国への飛び火の懸念さえある。
この時期、ドラギは勝負を賭けてきた。これをなんとか抑え込むことができれば、その後の金融機関破たん処理に目途が立つかもしれんが、イタリア国民の支持が得られない場合は、金融機関危機の連鎖が発生する可能性も否定できない。

そして最も懸念されるのはイタリア国債の金利上昇かもしれない。破たん処理にはかなりの財政負担が必要だ。記事によればイタリアの銀行が抱える不良債権の総額は43兆円(デリバティブを考慮せず)に上るという。さらに劣後債の発行残高は未発表であるが・・・。日本でさえタカタの負債総額1兆円で戦後最大との話題になるわけで、イタリアでの43兆円+劣後債への信頼感は大いに揺らぐことになるだろう。

このドラギの決断が吉と出るか凶とでるか・・・来週になって2行の不良債権および劣後債残高が公表されないと何とも言えないが・・・欧州市場の動向を見ないと影響が計れない。

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