いま、そこにある危機 2016.11.27 暗黒の時代へ(前編)
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(メンバーが変わってしまう!伊勢志摩サミットにて)
恐らく、トランプ相場になってFRB利上げも吸収してなお堅調な相場動向のなかで、投資家はリスクを忘れる。日本市場で言えば、ここから個人投資家が、焦れて「買い」で参入してきて、年内相場は堅調に推移するだろう。米国市場は・・・史上初の$20,000でさえ通過点とばかりに、上値を追ってくる可能性が高い。だが、いまなお全く未知数のトランプ新大統領の外交手腕、ロシア復権を狙うプーチンの強硬姿勢、サウジアラビアのイスラム圏における覇権、影響力が衰えるEU・・・有頂天になる株式市場を襲うのは、世界政治の極めて危険な政治情勢になると思う。
政治が経済を無視する時代、必要とあらば通貨をジャブジャブにすれば解決するという危険な認識を持った政治家たちが、新たな覇権主義に向かうことがすなわち、世界経済の危機を象徴する。現状は決して楽観できない厳しい状況であることを、忘れないようにしたいものだ。
<米国>
トランプ新大統領は、財政政策によって米国経済を活性化させると公約した。公共投資と減税、軍備拡大によって大幅な財政拡大を目指す。FRBが金融緩和の出口を模索しているにも関わらず、真逆の政策を行うわけだ。この矛盾を株式市場が消化するのは難しいのではないか?
すでにその兆候は出ていて、米国長期金利は急上昇した。しかるに本格的な財政拡大は大幅な国債発行を伴う。その局面では米国金利はさらなる上昇となり、債券市場を襲う。米国債の有力な担い手であるサウジ、中国は米国債を売却中だ。そして今後も米国債を引き受ける投資国、投資家が名乗りを上げる可能性は極めて少ない。
だが、そうなってもトランプは自身の政策を曲げることはないだろう。対外的には強硬姿勢で臨むだろうし、国内的には今回の大統領選挙で分断された勢力を、とくに黒人を中心としたマイノリティに対する政策が国内治安を極めて厳しい状況に追い込むだろう。2017年の米国は、白人中心の覇権主義とマイノリティ(もはやマイノリティではない!)との軋轢で非常に不安定になるだろう。そして、結局のところ、トランプはプーチンの横暴を封じ込めることは出来ないだろう。
<欧州>
ドイツではメルケルの求心力が喪失した。再選の意向らしいが、もはやドイツの手法ではEUを維持できないのは明白だ。ドイツの最大の輸出国は中国だが、人民元安によって膨大な打撃を受けている。EU圏内の輸出に関しても南欧の経済危機によって減少しつつある。もはや2017年のドイツにはEU経済を牽引する余力はない。そしてフランス、イタリアは政治情勢が極めて不安な状況だ。さらにイタリア、スペイン、ポリトガル、ギリシャ、東欧加盟国は、ほぼ経済的に破綻に近い状況にあるのが実態で、欧州におけるロシアの存在が極めて危険である。
2017年、EUは崩壊の危機に見舞われる。EUの金融機関は、EUの枠組みでは救済できないし、根本的な不良債権処理は不可能なのだ。まずは、イタリアから。遂に公的資金による救済を決めたが、いくら投入したところで金融機関の収益がプラスに転じなければ意味がない。もはや、国際間の金融機関統合以外に道はない。
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